お客さんから預かった機械の修理を依頼しているメーカーから連絡があった。工場の品質管理のルールの都合で、修理を直接担当した部門とは別の部門でも検査が行われ、その検査で再調整が必要な部分が見つかったとか。それで修理完了の時期が遅れるとか。
むうう。今回のお客さんはなぜだか修理をやたら急いでおられて、いつ終わるのかとひっきりなしに連絡が来る。なのに、これまでで既に何度か完了予定日が(理由があったとは言え)遅れてきている。つい先日も修理の時期を伝えたばかりだというのに、またしても遅れることを伝えないといけないとは…。
事情を説明してなんとか納得はしてもらえた。それにしても、メーカーは、その場しのぎの適当な納期ではなく、もう少し正確な納期を回答してもらいたいものだ。
午後、まもなく開発が終わるはずの機器の納品先*1に出張している社員から電話がかかってきた。一緒に現地に行っている某役員が装置の仕様が気にくわないから直せとか言い出したらしい。自分は装置の仕様については権限がないので、仕様を決めた上司に電話を回した。電話の会話をちらほら漏れ聞いていると、どうやら上司は役員の要求を聞いて「特別仕様のソフトウェア」を作らせようとしているらしい。
役員が納品先で自社製品を始めて見て、なんのかんのと文句をつけてくるのはどうかとは思うが、言い分そのものは納得のいくものだったりする。実は今回指摘された仕様の不備は、自分も開発中に指摘したことがある。当時、理由を説明して仕様の変更を上司に訴えたのだけど、開発期間を理由に却下された*2。
個人的には上司の判断が正しかったとは思えないし、仕様を変更できないのは残念なことではあったが、上司が責任をもって決めた方針であれば仕方がないと納得はしていた。それを今になって他所から文句を言われたからと「ソフトウェアの特殊仕様」としてこちらに押し付けようと言うのはあまりに無節操で無責任ではないか。もしかして単に部下の言い分を却下して力を誇示したかっただけなのか?
電話が切れた後、上司とどうするか話し合いになった。今回は珍しく、かつて自分が同じ指摘を却下したことを上司も覚えていたようで、特殊仕様を作れとあまり強硬には言われなかった。結局、後日役員と相談して方針を決めるということになった。
それにしても近頃こういうことが多い。「こういうこと」というのは、ずっと前に自分が何度も指摘したにもかかわらず責任者が無視・放置した懸案事項が(案の定)ずっと後になって問題化し、手遅れになってなんとかしてくれと持ち込まれる事態だ。
率直に言うと、「だからあの時何度も警告したじゃないか!ずっと無視しておいて、いまさら何言ってるの?」といった気分だ。そもそも大抵は彼らが騒ぎ出した時点で既に手遅れなので何をやってもすっきりと解決はできない。無理なものは無理と言うしかない。
そもそも忠告や警告を責任者が無視するということは、それらを間違いだとみなせるほど成功の自信があるか、さもなくば失敗しても構わないということなので別にどうでもいいではないですか。ねえ。