サイエンスリサーチ科

気まぐれに母校のウェブサイトを見てみたら、いつのまにか新しい学科が新設されていた。その名も「サイエンスリサーチ科」。名前の通り理数系に重点を置いた学科らしい。
少子化かつ理科離れの時代に、はたしてどれほど生徒数を確保できているのか気になるところだが、地域全体の理科・数学好きの生徒をかき集めればそれなりの人数になるのかもしれない。
おそらく文科省の「スーパーサイエンスハイスクール」認定を狙って新設されたのだと思われるが、教育課程の特徴を見る限り、教育内容はそれなりにちゃんと考えられているように思う。その特徴を抜粋してリストにすると、次のようになる。

  1. 数学と理科をまとめて専門教科「理数」とし、普通科より高度な内容を学習する。
  2. 理科は「物理」「化学」「生物」の3分野をしっかり学習する。
  3. 3年にリサーチ科目を設置し、難関大学の入試問題にも対応できる高度な学力を身につける。
  4. 学研都市の研究所や大学との連携により、創造性・専門性を高めます。
  5. 「英語表現」(英語に関する専門科目)を設置し、英語を通して情報を発信する力を身につける。
  6. プロの研究者を招いた土曜学習会や長期休業中の実習を設ける。

リサーチ科目とか創造性とかよく分からないところもあるが、より高度な内容を教えること、全員が受験で必要になるとは限らない理科3分野*1を全部やること、プロの研究者に触れる機会が設けられていることは評価したい。
また、発信型の英語が入っているのは素晴らしい。スピーキングより英文でのテクニカルライティングが重視されていればなお良いが、教える側の事情を考えればさすがにそれは期待しすぎかも。

一つ気になるのは、他校や普通科からの編入がどれくらい考慮されているかという点。もしそれが難しいとすると、生徒は中学生の時点で文系理系を決めなくてはならなくなる。
私が卒業したのは今もある第II類文理系という進学コースで、高校受験の時点では文系理系の区別は無かった。入学前から文系理系を決めていた生徒もいたかもしれないが、私の場合は理系進学を決めたのは2年生のときで、それまでは漠然と文系に進むつもりでいた。
もし当時、サイエンスリサーチ科があったとしても、おそらく中学生の私はこの科を受験していなかったと思う。しかし高校の後半になってサイエンスリサーチ科を受験しておけばよかったと後悔することになっていたかも知れない。
得意な分野を伸ばせる教育環境があることは素晴らしいと思う一方で、早い時点で進路を狭めることには視野が狭くなったり、途中での進路変更が難しくなるといった弊害もある。私のように高校の途中で数理系に目覚める生徒にも門戸の開かれた学科であって欲しいと思う。

*1:地学はここでもハブられてしまいましたよ鎌田先生…