教授ストレス

(ネガティブ注意)
 ストレスの原因ははっきりしている。学位のことだ。もうすぐ締切りが来るのにほとんど何の行動も起こせないでいる。いや、その締切りも何年か前の日程から推測しているだけなので、もしかすると今年は既に締切りが過ぎている可能性だってある。
 問題は論文が書けないことではなく、教授に信用を置くことができないからだ。はっきり言ってこれは致命的だ。
 これまでに何度も教授の無責任で不誠実な対応に苦しんできた。自分の目にはこの教授は学生の人生がどうなろうと毛ほども気にならない人物に思えてならない。
 相談に行こうにもその場の気まぐれで「学位は諦めろ」と言われるのではないかという心配が消えず、足が思うように動かない。文句が言えないような研究成果を出そうにも、研究室の予算が無くて老朽化して壊れた実験道具は修理も買い替えもできず、測定試料すら買うこともできなかった。
 教授に対する怒りと、足踏みしているばかりの自分に対する苛立ちばかりが募った。前にも後ろにも進めないまま抑うつ状態になり医者に通うことにもなった。
 研究室の助教授も助手も我関せずで相談してもろくに取り合ってはもらえなかった。彼らは教授に対するトラウマが無いので、こちらが何を恐れているのか分からなかったのだと思う。 誰に助けを求めることもできず、何年も苦しんだ。怒りや苛立ちは思考力を奪う。不信と怒りに取り付かれたまま研究の真似事をしていてもろくな成果は出なかったが、それでも全てが無駄になることを思うとひどく苦しい。
 教授がこちらの苦しみと恨みに気づいてすらいないのではないかと思うと殺意にも似た感情が湧き上がってくる。次にまた薄情で無責任な対応をされたら暴力を振るってしまうかも知れない。そんなことになるくらいならこのまま二度と会わない方が良いのかも知れない。しかし、もしそうしたら自分は一生教授を憎んで過ごすことになるかも知れない。それを思うとゾッとする。

 可能であるなら他の研究室で学位を取り直したい。しかし今の境遇ではそれも難しい。