http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090513-OYT1T00525.htm
東北大は13日、大学院理学研究科で教員の指導に過失があり、担当していた大学院生の自殺につながったとする内部調査結果を公表した。
(略)
大学院生は2007年12月、博士論文の草稿を事前提出したが、准教授は大学院生と十分に議論せず受け取りを拒否。准教授は06年11月ごろにも、論文提出を延期するように指示しており、大学院生は2年連続で博士号の取得に失敗した。
(略)
他人事とは思えない。自分も、早めに診療内科に駆け込まなかったら、この大学院生と同じをしていたかもしれない。そう思うと涙が出そうになった。
この件についてはちょっと冷静になれそうもない。
日本の大学の研究室には第三者が調停や仲裁をする仕組みが無いので、行き詰った学生は泣き寝入りするか自殺するか傷害・殺人に走るかの2つしか選択肢が無い。少なくとも当事者にはそれ以外の道は見えない。
「泣き寝入り」には「辞める」と「心を殺して服従する」の2通りがある。もし誰かに相談したとしても、(よもや自殺や他殺を勧められることはないだろうから)どちらかの泣き寝入り方法を勧められるだけだろう。それどころか相談窓口に相談することで余計に困った立場に追い込まれることだってある*1。
問題は、どちらの泣き寝入りを選んでもダメージを受けるのは学生だけで、教官には何のペナルティも無いということ。そのためリーピーター医師ならぬリピーター教官が学生を苦しめ続けるという状況が放置される。そうして来年もまた何人かの学生が心を病んで学校をやめていく。
あちこちで書かれているように、今回の事件は氷山の一角でしかないのだろう。自殺の寸前まで追い詰められている学生やポスドクはおそらく日本中に大勢いる。
その人達にとって今回の事件が引き金にならなければいいが…、と思う。と同時に、自殺者が連続して現れでもしない限り文科省や大学が大学院システムの改善に乗り出すことは無いように思えてならない。
関連:
東北大学大学院生の自殺 (とりあえず落ち着いてください) : 5号館を出て
http://www.mumumu.org/~viking/blog-wp/?p=2759
Leo's Chronicle: 一人で悩んでいませんか?
*1:『事務方の担当に相談に行ったら内容を全て指導教官に話されたおかげで色々と邪魔され、事務の人にまで「あなたにはやる気がない」と批判され退学を促されました。』「5号館のつぶやき」のコメントより