「研究」を仕事にしますか?

山田ズーニーの「おとなの進路教室。」
『第二十二章 「研究」を仕事にしますか?』

『文系か?理系か?決められなかった』とか、『ものを書くときにも博士号があったほうが有利かも』とか、ものすごい共感が…。

この回の話題に関しては自分とは状況がかなり違うと感じた。
藤井由紀子さんが博士課程やポスドクに進んだ動機が、『研究が楽しくて仕方がない。これをずっと続けたかった』というのに対して、私の場合は『こんなインチキが「研究」なはずが無い。もっとまともな「研究」をしたい。』という思いだった*1。あきらめきれない理由としてはほとんど正反対と言えそうだ。
その後就職した会社に対する感想も、『放任主義の大学と違って、とても丁寧に指導された』という藤井さんと、研修もトレーニングも全く無しでいきなり一人で商品を作って納品までやらされた私とは相当な違いがありそうだ。
正直言うと当時は、会社ってなんていい加減なのだろうと思った。だが、裏を返せば「売れればOK」という大原則がはっきりしているというのは分かり易くて好感をもった。というのも、大学では「教授が価値があると考えるかどうか」という属人的であいまいな基準しかなかったので、自分では無意味としか思えないテーマであっても論理的に反論することができずに苦しい思いをしたからだ。

*1:当時やっていたのは「とっくに誰かがやったことを、より貧弱な設備と環境で再現し、後付けで研究の動機をでっちあげる」ということで、自分ではこんなもの全く価値が無いと思っていた。