『論文・プレゼンの科学』

 近接場光学の泰斗による、学生・若手研究者のための発表技術ガイド。著者の発表にたいする考え方には共感できるし紹介されている手法にはユニークでおもしろいものも多いのだけど、ユニーク過ぎて若者がなんでも鵜呑みにするとまずそうな技も少なくない。
 例えば、読者や聴衆を退屈させないようにする工夫や、レーザーポインタの弊害などは他書にはあまり無い視点で参考になる。しかし、リラックスして講演をするためにポケットに手を突っ込んだまま話すというのは普通は真似しない方が身のためだろう。
 ともかく本書は論文術&発表法の本を始めて読む人にはちょっとお勧めできない。初学者はまず定番の『理科系の作文技術』、『レポートの組み立て方』、『日本語の作文技術』や、ブルーバックスの発表法の本などの定番を読んでから本書を読むべきだと思う。
 あと、実は本書の文章そのものはかなりトホホな出来なので、内容は参考にしても文章やその構成は真似しない方がいい。

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