『進化しすぎた脳』

これは素晴らしい!
これほど「科学の快感」を満喫できる本はめったにない。それがたった1000円とは、新書ブーム万歳。
本書の元になった脳科学の講義は高校生向けであるにもかかわらず、いたるところで(当時の)最新の研究成果が紹介されている。「先月発表された論文」についてバリバリの若手研究者に解説してもらうというのは、高校生にとってどれほど素晴らしい体験になったのかはかり知れない。実にうらやましい。
内容が盛りだくさんであるためにブルーバックスとしては厚い本になっているが、まとめ方が素晴らしいため、すいすい読めてしまう。著者自身もあとがきで述べているとおり、講義のライブ感が損なわれずに文章になっているので読んでいて心地よい。
正直、これほどの内容でこのわかりやすさは尋常ではない。著者の力量にはただ脱帽するだけである。理科の実験の時間を増やすくらいなら、こういう本を読むように指導したほうがよほど理系離れに効くだろう。

進化しすぎた脳
進化しすぎた脳
posted with amazlet on 07.02.18
池谷 裕二
講談社
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