『若者は、選挙に行かないせいで、四〇〇〇万円も損してる!?』

 世代会計の本・・・ではなく、現代日本の政治の構造をわかりやすく1冊にまとめた本。このコンパクトさでこのほど分かりやすい本はなかなか無いと思う。少なくとも自分はこの本で、ニュースやネットで得た断片的な知識をきれいに整理することができた。1000円と新書サイズにしてはちょっと値段は高めだけどそれ以上の価値はある。
 本書では政治活動を、有権者・国会議員・圧力団体・官僚、の4者の関係で説明している。4者それぞれが利己的に行動することで現在の政治が形作られているという立場で書かれている。秀逸なのは、政治家や官僚や圧力団体が現在のシステムの中で合理的(局所合理的)に行動するのは自然なことで、問題がの原因はモラルや良識ではなくシステムであると述べられていること。その前提に立って、システムの改善のための著者の考えが提案されている。
 また、総選挙を控えた今は、前半で述べられている「投票のしかた」は特に役に立つ。著者は、一般の有権者が「政治に関心をもたない」「面倒だから投票に行かない」ことを合理的な行動だと認めながらも、長期的にそれが彼ら自身の損につながると述べている。その上で、そういった人達が選挙で一票を有意義に投じるためのリテラシーを具体的に説明している。