大学の教育能力

本当かどうかは実際のところは知らないが、日本に比べてアメリカの大学生は、入学時の学力は低くても卒業時には日本と同等かそれ以上のレベルになっていると聞く。
もっとも、日本では合格さえすればその後どんなに学力が低下してもたいてい卒業できるのに対し、あちらでは出来の悪い学生は卒業できずに退学になるらしいので、卒業生の平均レベルを単純に比較するのはフェアではないだろう。
けれど、このような彼我の違いによって目立たないだけで、もしかすると大学の教育能力にもかなりの差があるのかも知れない。以下のような記事を読むとそう思えてくる。

日本の高校生の学力レベルが下がって大学の教育に問題が出ているというが、海外の大学では、もっととんでもなく低いレベルの学生が入学するのが普通である。それが、大学にいる間に、ちゃんとなっていき、わけの分からぬ英語を書いていたのが、しっかりした英語を書くようになるんだということも先生方はちゃんと知っていたりする。

文章の書き方を教える能力もない日本の大学

昨今の学力低下論争でも、入学者のレベル低下を嘆く声に比べると大学教育の質の低下を疑問視する声はあまり聞かれない。もちろん予算や教員数の削減などで教育環境が悪くなっているというのもあるだろうし、学生のレベルが低すぎてまともな授業ができないという場合もあるだろう。しかし、そういった環境要因だけでなく、教員の指導力の低下が起こっている可能性はないのだろうか?*1

日本の教育の将来は、とにかく大変だ。その中でも、大学の先生自体の意識改革が一番大変だ。それに比べれば、他の改革はそんなに困難ではないだろう。

文章の書き方を教える能力もない日本の大学

…。


ちなみに、以下は理系の大学院での話だが、http://members.aol.com/mirokubutu/kyoken30/yamada.htmの「教員の指導力の低下」はかなり的を得ていているように思う。同じようなことは学部教育でも起こっていないだろうか?

その結果、現在では自分でテーマを考えるというか、リーダーにはなれない人が、リーダーになっていて、学生にまともな研究テーマが与えられない。そういう先生方は絶えず、「学生がやってくれないからできない」と言うんですけども、本来、学生は研究がやりたくてしょうがないんです。出されてるテーマがやってもしょうがないテーマなんですね。それは学生が判るからやらないわけで、不親切ということもありますがそれよりも先生の能力が問題なんです。

http://members.aol.com/mirokubutu/kyoken30/yamada.htm

「学生にやる気がない」「学生に(研究を遂行する)能力がない」というのも良く聞く。でも本当にそれだけが原因ですか?と思えてならない。

*1:大学の教育力の国際比較とか時系列での比較とかのデータってどこかにあるんだろうか?