先週お客さんにメールで送った質問の返事が来た。こちらの質問に詳しく答えていただいて,
とてもありがたかった。
そのメール中で、現在私が担当しているソフトウェアの機能が十分でないとの指摘があった。同業他社のものと比べると確かにその通りで、異義も申し開きも無い。このことはずっと心苦しく思っているのだが、もはや自分の能力では対抗できそうにない。
単純に開発者の人数だけを比較しても歯がたたない。ヨーロッパのある会社ではソフトウェアに4人、電気回路に4人、そしてテスト専門のエンジニアが2人を充てている。いずれも各分野で博士号を持つレベルの人材ばかりである。また、アメリカの会社では、マネージャーが1人、組込みプログラム専門が1人、インドでプログラマ約20人を使って開発を行っている。
対してこちらはハードウェアの開発者は他と兼業で、ソフトウェア開発、動作テストの一部、マニュアル作成、顧客対応まで全て私一人である。どうやって対抗しろというのか。

それでもこれまで必死にやってきたが、いつまでたっても会社からの支援は全く得られない。それどころか、今度は解析ソフトまでどうにかしろと言い出した。一応は外注しても良いとのことだあるが、データ解析ソフトの設計にはユーザーの研究分野に関する専門知識が必要なため、外注仕様を作成するのは容易では無い。少し前までならそういった知識と人脈を持つ社員もいたのだが、(まっとうなことを言うから)気に入らん、と言って追い出してしまった。度し難いとはこのことである。

これまでもずっと人を増やしてくれとは言い続けてきた。回答はいつも「スキルのある人間は雇えないからド素人を連れてくるから教育しろ」と言うものだ。それも時間をかけて育成しろというわけではなく、すぐに使えるようにでっち上げろと言うのである。
さらに、「ド素人でもいいからできるだけ若い人間を採用して、しばらく下働きさせたらそれなりのスキルを身に着けるのではないか。」などと言っている。恐ろしく分かっていない。と言うか、私のやっていることもその程度にしか見られいないらしい。

その一方で、実は会社の要求は平均的なもので、単に私がそれに応えきれていない無能者なだけなのかもしれないと思うこともある。だとするとこれ以上私がこの会社にいるのは会社にとっても利のないことなのかも知れない。私が居座ることでより優秀な技術者の雇用を潰しているのだとしたらここを去る方が互いのためなのかもしれない。会社と私とどちらの言い分が妥当なのかは判断できないが、見解のミスマッチがあることは間違いない。やはり潮時なのだろうか。