『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』

一読して感じたのは、本書で重要なのは個々の事例の真偽ではなく「疑う力」の必要性を感じ取ることだということ。
本書で述べられているペットボトルのリサイクルに代表されるように、一見正しく異を唱えにくい活動には利権構造ができやすい。一見正しいことには国や自治体も助成金を出しやすく、やがて助成金や談合ができてゆく。活動そのものの持つクリーンなイメージにだまされない「疑う力」の重要性が良く分かる。
一方、「疑う力」は本書に対しても発揮される必要がある。本書には、温暖化による海水面の上昇や森林の二酸化炭素固定に関する記述など、内容の真偽に疑問を感じる箇所がいくつかある。(海面についてはここなどに詳しい。また、本書では森林に二酸化炭素を吸収する効果は無いとも述べられている。この論理にも疑問がのこる。)