自身も団塊世代である著者による団塊世代の老後の生き方ガイド。もっと言うなら人生逃げきりガイド。後ことはほとんど考えずいかに人生を逃げきるかについての提言である。ゆえに、後続の世代からすると、ちょっと待ってくれと言いたくなるような内容もたくさんある。
例えば著者は、（出版は2001年）の経済停滞の原因は団塊の世代の存在になる。といいつつ、経済が少し回復しつつあるのは中高年のリストラという犠牲があったからだと言う。もちろんリストラのおかげもあっただろう。しかし、新規採用の縮小で職にあぶれた若者はそれ以上にいたはずで、それゆえ現在の2007年問題であり若年失業率の上昇がある。実際にリストラにあった方々には酷かもしれないが、そもそも給料に対する生産性が低かったからリストラ対象になっのではないだろうか？ある意味で、本書は『若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来』の対極にある。年配者にとっては『若者は〜』は腹立たしい本かもしれないが、我々にとって本書の提言のいくつかは無責任で苛立たしく思えてしかたがない。
バブル崩壊に端を発した今日の窮状に対して、当時社会の中核を担っていた団塊世代とその上の世代にはもっと責任を感じてもらいたい。今の30代以下に自分たちのツケを押しつけた上に、不始末を起こした当事者が追い銭を要求するなど言語同断である。
