『驕れる白人と闘うための日本近代史』

数年前から気になっていた本。古本屋でも見つけることができなかったので、文庫になったのを発見して即買いした。
予想に違わず大当たり。めちゃめちゃ面白かった。
タイトルからも分かるように、欧米中心史観でゆがめられた鎖国時代の日本の実像を取り戻そうという本。著者は日本人だが、本書は元々ドイツで出版されたものの翻訳である。署名は挑発的だが、決してただの西洋人非難でも手放しの日本人万歳論でもない。確かにいくらか日本贔屓な印象は受けるが、欧米中心史観の世の流れに逆らうにはこれくらいでちょうど良いのだろう。
世界の中の日本を論じる本書では、当然日本だけでなく欧米の近代史にも同じくらいのページが割かれている。解説の中心となる時代は欧米の大航海時代の前後から明治維新後の日露戦争の時代まで。個人的にはイギリスをはじめとする列強がインドや中国に進出してくる理由と経緯がとても興味深かった。例えばアヘン戦争について、高校の世界史ではイギリスが何のために中国を阿片漬けにしたのかよく分からなかったが、本書をよんですっきり分かった(つまりは貿易摩擦ってことですね。わかります)。
感想をひとことで言うなら、グローバリズムも考えもの、ってことか。