ナポレオンも愛読したという古代中国の兵書・戦術書。解説本でも良かったがせっかくなので原典を読んでみたが、正解だった。
後のあらゆる兵法書のお手本となったとも言われるだけあって確かに素晴らしい。特にその怜悧な現実主義にはぞくぞくする。「いかに戦わずに済ませるか」「戦わざるを得ないときは、いかに準備を万端にするか」「いかに速やかに戦いを終わらせるか」といった冷静な思想は、古典ならではのそっけなさとあいまって、実にクールでカコエエ。
アマゾンの書評にもあるが、自分も一読してブッシュ大統領にも読ませたいと感じた。特に作戦篇の一の
故兵聞拙速、未睹巧之久也、夫兵九而國利者、未之有也
(戦争には拙速ーまずくともすばやく切りあげるーというのはあるが、巧久ーうまくて長びくーという例はまだ無い。そもそも戦争が長びいて国家に利益があるというのは、あったためしがないのだ。)
の下りとか。
ちなみに本書は200ページ弱と比較的薄いので中国古典の入門にちょうど良いかと。