『CPUの創りかた』

あと少しのところで長いこと放置してあったのを読み終えた。
本書は、74ICを使ってCPUを作ってしまおうという無茶な果敢な試みを通して、デジタル回路設計を解説した本。カバーイラストから受ける印象とは違い、内容は相当しっかりしている。
本書については、表紙と挿絵があれだとか文体がおふざけ気味だとか色々言われているが、間違いなく良書、というか名著。実際、本書はハードとソフトのどちらの分野の技術者からも評価が高い。アマゾンでの評価も★4個以上である。あちこちで「隠れた名著」と呼ばれているが、全く同感である。
特に組込みソフトの初級技術者はだまされたと思ってぜひ一読をお薦めする。ただし、前半はかなり基本的な内容なので、立ち読みで内容を確認する時は中盤以降も読んでみること。
読んでいて感じるのは、この本が非常に丁寧に作られただろうということだ。なにより読者がひっかりそうなところがしっかりフォローされているのが素晴らしい。読者の理解の度合を推測するのは著者にとってかなり面倒な作業だと思うが、手を抜かずにきちんと考えてある。専門的な内容を分かりやすく説明をするためのお手本としても本書は使えるかも知れない。