なんかすっごくよくわかる…

全体スケジュールへの影響を与えないように自分では捌ききれない仕事を他人にきちんと振った場合と、できない仕事を断らずに受け入れ続けた場合と、どちらの対応をしたところで、私自身が忙しいという現実は変わらない ということに。

どちらの対応をしても、自分の仕事の忙しさが変わらないのであれば、より楽な対応をとりたくなります。スケジュールをきっちり維持管理するよりも、とにかく目先の作業を裁き続けたほうが楽です。結果 周りを振り回してしまうわけです。
どうして仕事を断らないのか: hogehogeなSEの日々

まあ私の場合は(一応)断ることもある…。
「出来ない」と断ると、消極的だとかやる気が無いとか言われるし、自分でもあまり格好良くないとは思うが、直感的に「無理だ」と感じる仕事は断るべきだと考えている*1。最終的には「無理でもなんでもなんとかせい」と言われることが多いが、きちんと意思を示しておかないと後で問題になったときに責任を一人で背負う羽目になりかねない*2

こちらが断るとたいていは上役から「じゃあどうすればいいんだ!?」と聞き返される。聞かれてすぐに解決策が出せるなら端から無理だとは言わないので、すぐに答えられるはずもない。なのでたまに「(この会社には分不相応な仕事だから)あきらめましょう」と本心で答えることもある。

別にヤケクソになっているわけではなく、単純に同業他社の開発規模と比べて今の開発体制では困難と言っているだけだ。まず開発に関与する人員の数が違う、こちらが1人であるのに対して他社は6人から20人である。ブルックスの法則が言うように、多すぎるのも問題だがある程度の人数は必要だ。そもそも1人と2人では同じ技術レベルで相談できる相手がいるかどうかという点で大きな差がある。
さらに人材の質は人数以上に差がついている。他社は情報系と物理工学系の博士クラスが選任で開発に当たっているのに対して、この会社では非線形分光の博士落ちこぼれ(つまり私)が一人で開発プラス雑用を担当している。特に「質」の差は深刻で、仕事が特殊で困難になるほどこの差が超えられない断絶になる。*3

今の感覚を大げさに例えるなら「瀬戸内海に新しく橋をかけるプロジェクトを一人でやらされている」といった感じだろうか。橋を建設する技術そのものは既に存在しているし成功例もあるので、設計や工事を依頼できる相手を探してうまく取りまとめれば原理的には実現可能なプロジェクトではある。しかし、それを半分素人の技術者一人で実現しろというのが無茶であることは火を見るより明らかだ*4

結局のところ問題は人手ではなくて技術力の不足にある。なのでもっとも速い解決法は「優秀な人材を採る」ことに尽きる。採用するのは少なくとも私より優秀な人物でなければ意味は無い。もしそういう人が入ってきたなら喜んで下につきましょうぞ。
…てなことは折に触れて上司に提言しているのだが、返事は「優秀な人間はこんな会社には来ない*5」とか「変に知識があるやつは扱いにくいから、ど素人を採って教育したほうがいい」とかいうものばかり。だからそういうことやないねんて…

*1:特に心が弱っているときは下手なチャレンジは心身に危険なので

*2:証文を書いておけばより確実なのだろうが、そこまではなかなか

*3:さらに、開発を継続してきた年数も先方の方が長い

*4:とか言いつつ、瀬戸大橋の建造の実情とかは調べてない。まさか一人の超人が成功させた工事だったりして…

*5:なにげに酷い言い様