『下流喰い』

消費者金融の実態を、著者独自の取材を元に明らかにした本。すごい迫力である。
私が子供のころ、「サラ金」という言葉には非常にダークなイメージがあった。周りの大人たちも「サラ金に手を出したら借金に追われて人生が終わる」などと言っていた。
この頃では、ものすごい数の消費者金融のCMがテレビに流れ、無人契約機がいたるところに設置されている。各社とも会社名をカタカナにしたり、イメージキャラクターに愛らしい動物や若い女性タレントを起用してクリーンなイメージを打ち出している。しかし、金貸し業の本質が変わるわけではない。軽い気持ちでこれらを利用するとえらいことになりかねないことを本書は思い知らせてくれる。子供の頃もっていたサラ金のイメージは現代でもあながち的外れではないようだ。
「御利用は計画的に」と言われても、何をどう計画すればいいのかさっぱり分らない。だが、融資を受ける前に本書を読んでいれば、自ずから慎重に計画せざるを得ないだろう。本書を読んでいることを融資の条件にすれば破滅する人も業者の儲けも激減するに違い無い。