戦前の10代の犯罪記録を元に「昔はまともな時代だった」という思い込みを否定する本。あちこちで話題になっていて、一時はアマゾンでも品切れ状態だったがようやく入手可能になったようだ。
実際に読んでみたが、評判通りやたら面白かった。寝る前に少しずつ読んでいたのだが面白すぎて睡眠不足になってしまった。あまり面白いと言ってしまっては犯罪の被害者の遺族や子孫の方々に対して少々不謹慎かもしれないが、犯罪そのものよりもそこから透けて見える当時の風潮が現在のイメージと相当かけはなれているのが興味深い*1。
本書の書評には皮肉たっぷりの筆者の語り口を嫌うものもあるが、むしろその皮肉が事件の薄気味悪さを消しているところもある。あまり硬いことを言わずに楽しめば良いと思う。
*1:でもまあ言われてみれば昔の小説なんかからもよく似た気配はしていた