『なれる!SE』

 …ノンフィクションじゃないの、これ。いろいろ身につまされ過ぎる。
 内輪向けのあるあるネタ小説としてはわりと面白いんだけど、勘違いした学生さんがブラック労働環境に就職するのを幇助することになってしまいかねないので、こういったザンコク物語を手放しで褒めるのははばかられるなあ。
 それはさておき、個人的にツボだったのは後半の顧客が騒いでる箇所(P290)。

「分かり次第じゃ困ります。今問題点を教えてください」
 何を言っているんだ、この人は。
 工兵は歯を食いしばった。
 調査中と言っているじゃないか。切り分けの終わっていない状況で何を報告しろというのか。会話が噛み合っていない、一方的に同じことを言い続けている。だいいち報告してどうなるのか?顧客担当者が何か解決策を示してくれるのか?—まさか。工兵には、彼がただ自分の不安を紛らわすため質問を重ねているようにしか見えなかった。

…なんだか自分の上司と重なって見えるw。普段から報告しろ報告しろと口やかましいので、ちょっとしたトラブルか起こったことを報告したら、(原因はこれから調べると言ってるのに)どうするねんどうするねんとむやみに騒ぎたてるか、的はずれな指示を出して解決を遅らせるかのどっちかという…。


 ちなみに、研修がないとか、上からの連絡がいいかげんだとか、梱包を自分たちでやらないといけないとかは、自分もまったく同じ。多分こういうのはIT系に限らず、中小企業では割とあることなのだと思う。(今の会社の業務では時間制限があまり厳しくないので徹夜とか泊まりとかは無しで済んでるけど。)