「内製したい病?」

 …また「作れそうだから作りたい病」が社内に蔓延している。
 とある製品開発の案件があるのだけれど、どうしてもわざわざ回路から作る意味が分からない。どうにも納得できないのでとうとう、「市販品を組み合わせても大して高くつかないなら内製ではなくモジュールを購入して組み立てるべきでは?」とミーティングで言ってみた。すると古参の技術者から、「なにもせんでも人件費は発生する(だから遊んでるより何かするべきだ)」とムキになって反論された。
 その人の声が震えていて目もちょっと血走っていたのでそれ以上突っ込むのはやめておいたけど、それおかしくないか?ほんのわずかな原価の差のために素人が低品質なものを作るより、市販品を組み合わせて簡単に高品質なシステムを組んで、後は寝てる方がマシなんじゃないか?
 たしかに、経験のある分野に価格破壊をしかけるとか、その分野に本気で進出しようというのなら要素技術から開発することに意味はあるかもしれない。けど、ほぼ始めて作る装置で、今後その分野に進出しするつもりも無いのなら、材料費が数万円高くなっても実績のある市販のモジュールを使うべきだと思うが…。材料費の差は年間売上に10万円も差は出ないだろうに。材料費の差額で内製する場合の人件費総額を埋め合わせるには10年はかかるでしょうに。
 なんでいちから作りたがるん?趣味か?工作がしたいのか?匠の技の呪いか?
 何でもアウトソーシングというのも愚作だろうけど、自社工場を持ってないアップルがマイクロソフトを抜いたことの意味も考えるべき。


 匠の技の呪縛については『ものつくり敗戦』を参照。