『色はどうして出るの』

 うーん…惜しいというか残念と言うか。自分の専門に近いテーマだけにもうちょっと丁寧に書いてもらいたかった。
 小説と挿絵の巧拙はともかく、量子化学の説明が不正確なのはいただけない。専門書のように厳密に書くべきとは言わないが、例えば「電子という物質」とか「ミクロの世界は次元が高い」や「電子は個性化する」のような*1微妙な説明や怪しげな表現は使うべきではなかった。
 また、写真や図の少なさと箇条書きの多用が手抜きを匂わせる。ページの都合かも知れないが、「色」をテーマにしている割には口絵のカラーには本文とさほど関係の無い絵が2ページと、えらく貧弱だ。
 説明の順番や内容についても整理不足な感は否めない。重複して説明されている箇所がある一方でえらく説明不足な箇所もある。
 とにかく全体的に構成不足と監修の甘さを感じた。残念。

*1:悪い例だけ抜き出すとまるでニセ科学本みたい。大筋は正しいのだけど。