研究の費用対効果

東大の論文、1本1845万円 国立大でコスト最大級

これ単によその大学の予算が少なすぎるだけでないの?

東京大学の論文の「生産性」が国立大学の中で最低レベルにあることが文部科学省科学技術政策研究所の調査でわかった。研究費を論文数で割った1本当たりの「生産費」を比べた。東大など旧7帝大はおしなべて生産費が高く、旧帝大偏重が指摘されてきた国の研究費配分のあり方に一石を投じそうだ。

そもそも、論文の数だけで生産性を計るというのが妥当かは疑問ではあるが…。

記事では、東大が研究費を無駄遣いしているという論調になっている。まあ確かに東大には研究費が集中しすぎていると思うが、ここはむしろ予算不足の中で善戦している地方大学を褒めるべきではなかろうか。

このあたりの事情を詳しく考察した記事もある

07年度の科研費配分額で、東大はダントツの1位(63.1億円)で、2位の京大の1.4倍以上、私の地元の名古屋大学にいたっては何と東大の3分の1のレベル。これだけを見れば、確かに戸塚氏が言うように、東大には「優秀な研究者が集中している」ことになる。しかし本当にそうか?


なんにせよ特定の大学に金を集中させて研究効率を上げるという政府の方針*1に対してその効果が疑われるデータが出てきているのだから、早急に予算の集中を緩和して地方大学の分け前を増やすことを検討すべきだと思う。(予算の無い研究室の学生は本当にツライのよ。)
と思ってたら、そういう主張をしている人がちゃんと居た。

研究費の配分問題に詳しい竹内淳・早稲田大教授は「少ない費用で優れた成果を出している地方の国立大にも研究費を正当に配分するような制度に変える必要がある」と話している。
東大の論文、1本1845万円 国立大でコスト最大級

まったく同意。
ちなみにこの早稲田大の竹内教授は、ブルーバックスの『高校数学でわかる』シリーズなどを書かれた方で、『高校数学でわかるマクスウェル方程式』のあとがきを読んでとても真っ当なことを仰る(珍しい)教授だという印象を持っていた。今回のコメントも至極まともでフェアなものだと思う。

参考: 公的研究費(科研費)配分の問題点Q&A


高校数学でわかるマクスウェル方程式―電磁気を学びたい人、学びはじめた人へ (ブルーバックス)

高校数学でわかるシュレディンガー方程式

高校数学でわかる半導体の原理 (ブルーバックス 1545)

*1:研究費の総額を減らしたのを誤魔化すための方便だと思うが