『高校数学でわかるマクスウェル方程式』

微積分を使わずに電磁気学の基本方程式であるマクスウェル方程式を説明しようという本。本書では、マクスウェルの4つの方程式を高校までに習う「〜の法則」を発展させることで導き出している。
アマゾンでの高い評価にたがわない良書だった。
また、電磁気学の発展にまつわる歴史的エピソードも随所に散りばめられているのも本書の(というか著者の)特徴だろう。
普通の教科書には、科学史上の出来事が詳しく記述されていることは少ない。教科書に記載されるのは重要な発見・発明を行った人物の名前とせいぜい年号くらいだろう。しかし重要な発見・発明がなされたときに科学者が辿った思考の過程は、「自然を理解するための思考法」そのものであり、これを学ぶことは非常に重要である。そういう意味で、本書の説明を易しすぎると感じる人でも、端々のエピソードを拾い読みするだけで価格分は十分元が取れると思う。