『バカのための読書術』

「読書術」というには個々の本に対する著者の主張が入り過ぎている気がする。しかし実はそれが本書の良い点である。「これから勉強をするなら歴史を中心に」とか「まず『事実』に就く」とか実用的なアドバイスが満載である。著者のお薦め本がたくさん紹介されているが、読んではいけない本も同じくらい挙げられている。有名な作品でも平気でこきおろしているのは痛快である。*1
本書は多読家の先輩が飲み屋で垂れた講釈のようなもので、役に立つアドバイスもたくさん含まれているが偏った意見ももちろんある。全部盲信するのは愚行だろうが、納得いかない意見も含めて示唆に富んでいるし、比較的読みやすいので一読して損は無い一冊だと思う。

バカのための読書術
バカのための読書術
posted with amazlet on 06.09.18
小谷野 敦
筑摩書房 (2001/01)
売り上げランキング: 48,343

*1:もっとも著者自身が日本の書評はヌルイと主張している以上、当然だが。