『うまい逃げ方』

私が今一番会いたい人:宋文洲さんの最新刊。今回はこれまでの「ここが変だよ」シリーズといささか趣向が違うが、その言葉はやはり痛快かつ合理的だ。合理的とは、「冷静に考えればそのとおり」ということだ。

ヒラ、課長、部長、社長の順にえらくなると思い込んでいるんじゃないでしょうか。そうじゃない。厳密にいえば、ポストは役割分断を示すものなんですよ。

心身ともにボロボロになるまで耐えて耐えて、ひたすら働くほうもバカです。よく、「いやぁ、ハードスケジュールが続いて、先週、倒れちゃったんですよ。」なんて自慢げにいう人があるけれど、私なら、恥ずかしくて、そんなこと口にできません。自分の健康管理ができていないと白状しているようなことなのですから。

どうだろう。このような意見に反発を覚える人も多いと思うが、そういう方々には、少し冷静に論理的な反論を考えてみてもらいたい。ただし「常識だから」「昔からそうだから」というのは根拠にはできないのご注意を。どうだろう。もしうまく反論できならなら、そういう考え方も有りだと認めてもらいたい。

本書は安易に物事から逃げることを奨める本では決してない。限界までは努力しよう。けど、どうしようもなくなったら「逃げる」という選択肢が残っているを忘れないでいよう。それを忘れなければ案外踏ん張れるものだ。「我慢」「あきらめない」に価値があると思い込むのはやめよう。それらは幸福になるために必要かもしれないが、我慢すれば幸せになれる訳ではないのだから。

つらいと感じる心。その正体は、いつ耐えられなくなるかという不安です。