妖怪が見え、妖怪と話すことの出来る廻船問屋の若だんな(病弱)の物語。妖怪退治ホラーでは無く、ファンタジー&ミステリー小説とでも呼べばよいだろうか。登場する妖怪たちは、付喪神や鳥山石燕の図画に出てくる連中ばかり、妖怪好きにはとても懐かしく楽しい作品。とは言っても、描写にはおどろおどろしさは無く、非常に現代的な涼やかさがある。
『パラサイト・イヴ』と同じファンタジーノベル大賞受賞作品である。科学の知識があれば『パラサイト・イヴ』のようなサイエンスホラーをより楽しめるように、妖怪の知識があれば本作品をより楽しめること請け合いである。
これは続編の『ぬしさまへ』もすぐに読まねば。