『内側から見た富士通』

これは「よげんの書」ですか

すごいおもろい。いつも買った本の裏表紙には付箋を5〜10枚貼っておいて、気になった箇所に貼るようにしているのだが、この本は約半分の時点で既に15箇所以上に付箋を貼ることになってしまった。
安易に「成果主義」「目標管理」を導入すると、人々の心情がどのように変化するか、そしてその結果何が起こるかについての大規模な失敗事例である。制度について様々な立場の社員がそれぞれどのように感じ、どのように行動したかが丁寧に解説されている。解説には説得力があるので、現実にそれらの現象が起こった可能性は高いと思う。

私の今の会社でも目標管理制度が始まったばかりで、来月には最初の評価が行われる(はず)。おそらく、この本で「予言」された事が起こるのではないかと思う。それまでに同僚にも本書を読んでもらって「予想」が当たるかどうか楽しみたいと思う。

成果主義」「目標管理」は一時ほどもてはやされなくなったが、私の勤め先のように地方の中小企業には新たに導入する会社もあるのかもしれない。経営幹部の方々、成果主義導入の議論はせめてこの本を読んだ上でしていただきたい。また、一般社員の方々は本書を読んで、経営陣に簡単に騙されないようにしていただきたい。

本書は装丁が安っぽいせいで下世話な印象を受けるかもしれないが、出版元は最近新書でヒットを飛ばしている光文社である。見ためは悪いが再製紙の利用や帯を付けないことで1000円という低価格を実現している。関係者の方々は是非とも読んでいただきたい。

え? 本なんか何年も読んでおられない? ジャアショウガナイデスネ。

内側から見た富士通「成果主義」の崩壊
城 繁幸
光文社 (2004/07/23)
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