『社畜のススメ』

 タイトル通り、昨今の「自分で考えて働け」に対する反論の書。
 個人的には、7割ほどは同意できないものの3割ほどはうなずける内容だった。「残業ゼロ」「自己実現」「ワークライフバランス」などの考え方を支持する人には、本書は度し難い愚書に思えるかも知れないが、そういう場合は本書を批判的に読むことで自分の考えをよりしっかりさせることに使える(皮肉ではなくて本当にそう思う)。
 ちなみに途中でムカついてきた人も、放り出す前に最後の章だけは読んでおいた方がいい。仮想の若手社員との対話形式で、想定されれう異論に対する著者の反論が述べられている。


 個人的には細かい突っ込みどころはいろいろあるが、次の2点についてほとんど考察が無いのは致命的ではないだろうか。

  • 現在の社会情勢や求められる基本スキル
  • 年功序列により、仕事ができない上司が存在する

 現在の日本企業の低迷は、年配社員の「かつてうまくいったやり方」がもはや通用しなくなったからではないのだろうか。

社畜のススメ (新潮新書)
藤本 篤志
新潮社
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