『失楽園』の作者であり、性愛小説の大家である渡辺淳一氏の女性遍歴を綴った自伝的エッセイ。元は1995年から2年間にわたって刊行された全集の月報に掲載された(文中の記述は当時のまま)。
内容の真偽については判断のしようもないが、氏のいくつかの作品を顧みるに、あの作品の作者ならさもありなん、といった真実味がある。
それにしても(内容が事実だとすれば)ずいぶん赤裸々な回想記である。独身時代の恋愛はもとより結婚後の浮気についてもあけすけに描かれている。(一方、夫人についての記述はほぼゼロ。)
絵に描いたような朴念仁である自分には氏の生き方はいささか想像できる範囲を越えているが、こういう人生もあるのかと(若干の不快さの混じった)嫉妬も感じた。