平成有給消化令

有給取得率の引き上げという政策自体がおかしい - Joe's Labo

さて、このたび政府が新成長戦略の一環として、この有給取得率の引き上げを目指すらしい。

問題の本質ははっきりしていて、業務の切り分けが曖昧な職能給制度が原因だ。
このシステムだと、個人レベルで「効率的にちゃっちゃっと終わらせよう」というインセンティブ
絶望的に弱い。
下手をすると「バカ野郎、やる気あるのか!」と言われてしまう(実際、僕は言われたことがある)。

 絶望的に弱いどころか、逆向きのインセンティブになる。効率的にちゃっちゃと終わらせるほど次々と仕事を振られる。
 「仕事の報酬はよりハイレベルな仕事」とよく言われるが、穴埋め的にあてがわれるのは優先度の低い仕事であることが多いから、やればやるほど成果につながりにくくなる。まあ時間を潰させるという目的は達成できているわけだが。

いつまでたっても「周囲が忙しそうだから」と皆でけん制し合うカルチャーは残るだろう。
こうなると、逆に仕事を作る傾向を促進するから、これもホワイトカラーの生産性の低さの一因だ。

 忙しくしていないと落ち着かないから、自分にできる・やったことがあると言う理由で意味の薄い仕事が作り出されていく。本当なら時間に余裕があるときは将来のための調査や学習に当てるべきだけど、知識や頭脳労働に価値を置かない職場では体を動かしていないと怠けていると見なされてしまう。

対策は言うまでもない。「業務の仕分け」を行い、担当業務を明確化して裁量も与えればよい。
当然、賃金は横並びや時給ではなく、それぞれの結果に対して賃金を支払うのがのぞましい。
日本以外の国では普通にやっている話だ。

 対策としてはその通りだと思うけど、おそらく日本社会にそれが定着すのはかなり難しい。
 日本では、職場というものが「ビジネスの場」でなく「コミュニティ」になっているので、担当業務を明確にしたり裁量を与えたりといった「ビジネスライクな働き方」は好まれない。

まあ、お上にあれこれ指図されないと休暇一つろくに取れないという状況は、すごくカッコ悪いと思うけど。
そもそも、本来は権利であるはずの有給の取得率が政策目標になること自体がおかしいのだ。

 確かに「クニガキチント主義」はカッコ悪い。

クニガキチント主義

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