エネルギー源は水?

 日本のエグゼクティブの科学リテラシーをまざまざと見せ付けられた。

http://blog.prime-go.sub.jp/?eid=1209901

先日、新聞*1を読んでいると、驚くべきニュースに出会いました。
なんと、
「水道水で車が走る!?」
のだそうです…ホントです。

 …考えるまでもなくインチキです、本当にありがとうございました。
 で終わりにしようかと思ったけど、開発したのが在米のホンダの子会社だというので読み進めてみると。

家庭用ソーラーパネルで発電した電気を使って、水道水を電気分解し、水素を作り出す。
化石燃料などは一切使わず、車の走行時にも水しか排出しない。…(以下略)

 …
 …
 それソーラー発電やん!
 なんのことは無い、太陽光で発電した電力を化学エネルギー(水素)に換えて蓄えているだけ。水は、言わば「電池」として使っているわけで、決して水からエネルギーを取り出しているわけではない。
 なのに、

これって「産業革命」以上の「エネルギー革命」といえる、大きな歴史的出来事ではないでしょうか…。
何しろ、家の水道水で車が走ってしまうのですから…。
もう、ガソリンスタンドはいりません。

そして、これを家庭や工場に応用すれば、自宅や工場に太陽光発電パネルと燃料電池さえあれば、
水道水でエネルギーを賄うことができ、電気代・ガス代は不要!
ということになります…。

鳩山首相が主張する「CO225%削減」も、家庭・企業・車などに燃料電池を導入すれば、たちまち達成されることでしょう…。

ま、問題は、この燃料電池車「FCXクラリティ」の製造コストが高くて、
リース料が月額84万円!ということです…。

 ここまで舞い上がった記事が書かれていることにはため息しか出ない。

水素エネルギーって本当に良いの?

 そもそも水素ガスには、分子が小さくて容器から「漏れやすく」かつ「爆発しやすい」という欠点がある。これらは既に技術的に克服されているのかもしれないが、個人的には、エネルギーインフラとしては、安全面や技術的困難などの点で水素はバッテリーに劣ると考えている(一般家庭に水素ガスのボンベがあるのを想像するとかなり恐ろしい。)。
 特に車のように事故の起こりやすい乗り物には、水素エネルギーは向いてないのではないかと思うのだけど。

参考:水素燃料エンジン - Wikipedia

疑問符

 ちなみに上記エントリの筆者が代表取締役をされている会社では

※なお現在、当社では、「温室効果ガス排出量ゼロ」を実現した、「地球と暮らす家〜太陽と風が友達」を販売中です。

 らしいが、取締役が「水からエネルギーが!」なんて稚拙なニセ科学みたいなことを言っているようでは、性能に疑問符が…。

がっかり

http://kimuratakeshi.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/post-1.html

 これってすごい技術ですよね。でも見方を変えれば、月額84万円でこの「水道水カー」を利用できるのであれば、宣伝用に買ってみたいと思う企業は出てくるんじゃないでしょうか。年間1000万円で「エコ」を宣伝できるんだったら安いものだという考え方もあるでしょう。

 木村剛氏は経済分野では割と信用していた方だけに、こんな初歩的な誤解をされたことにはがっかりした。