『[小説] フェルマーの最終定理』

 本屋と飲み屋でバイトする27歳の青年と、ちょっと気になる女性編集者との淡い淡いラブストーリー。フェルマーの最終定理が証明されるまでの歴史を青年が夢で追体験するパートと、彼と女性編集者との会話とを軸にストーリーが進む。
 本書は縦書きの本であり、数式は出てこないし数学そのものにはほとんど踏み込まれていない。フェルマーの最終定理の証明にまつわるドラマを想像しながら読む本。

[小説]フェルマーの最終定理
日沖 桜皮
PHP研究所
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 ひとつケシカランのは参考文献が載せされていないこと。本文中で「変な(数学)の入門書を読むのは良くない」といったことを述べているのだから、著者にとっての「変でない」数学の本の紹介はあってしかるべきだろう。
 せめて、本書のタネ本と思われるサイモン・シンフェルマーの最終定理 (新潮文庫)』くらいは記載しておいて欲しかった。