『ご冗談でしょう、ファインマンさん〈上〉』

 言わずと知れた物理学者ファインマン*1の自伝的逸話集。物理系の学生でこの本を知らなければモグリだろう。
 文庫版の古本を買ったのを機に久しぶりに読み返してみたが、あいかわらず元気が出る本だった。
 もうきっかけは忘れてしまったが、高校生の頃にこの本の旧版を奈良市の啓林堂書店で買って、大学受験の合間に何度も繰り返し読んだ。自分の生き方を考えるきっかけになり、物理を志望するきっかけになった本でもある。(その本と続編の『困ります、ファインマンさん』は今も部屋の本棚の一等地に収まっている。)
 今回読み返してみて前には読み流して気づかなかったこともたくさん発見した。ファインマンマンハッタン計画の後、もう自分は研究者として枯れ果ててしまったと悩んでいたことや、「教える」ことにただならぬ熱意を持っていたことなどは、今回初めて気がついた。また少しファインマンが好きになった。

*1:朝永振一郎ノーベル賞を同時受賞した一人