サイエンスカフェの演題

【備忘録】何であなたは自分の研究成果を一方的に売り込もうとしているの?:Science and Communication:So-netブログ

営業でも何でも,相手のことを考え,相手の話を聞きながら商談をすすめるのに何でいまだに多くの研究者はこんなに一方的にまくしたてて話をしたがるの?

一方的な「サイエンスカフェ」が大きな広がりを見せないのは,そのやり方に大きな問題があると思ったほうがいいと思う.

 やっぱりそういうことも起こるか…。
 そもそも大学の教員の多く(もちろん全員ではないが)は、大学入試を通過した学生、つまり「高校での理科知識を身につけていて、それなりに意欲もある」学生に対してすら、うまく情報を伝える(教える)ことが出来ない。ひどい場合は端から伝える気も無くて「分からん学生がアホだ」と嘯く。そんな人達が、予備知識のレベルもバラバラであろうサイエンスカフェの参加者に合わせて話をするなんてまず無理だろう。
 話をする人を役者とするなら、演出家や舞台監督のようにサイエンスカフェという"場"を作る人を立てる必要があるのではないだろうか?


 ところで、そもそもサイエンスカフェのようなイベントは何を目的にしているのだろう?
 サイエンスカフェに実際に参加したことは無いけど、たまにウェブやポスターに記載されている演題を見たときに、まるで研究者の「発表」みたいな演題だと感じることがあった。そのたびに「こんな狭くて専門的なテーマを一般の人に話して大丈夫なのだろうか?」と気になっていた。(もしかして学会発表用の資料を使いまわしているのだろうか?)
 学会の発表でも専門分野が少し違うだけで聴衆に理解してもらうのは難しいのに、一般人相手に何の工夫もなく専門家相手と同じように話をしても「やっぱり素人には科学は分からない」という疎外感を強めるだけだろう。
 これは想像だけど、サイエンスカフェに参加している人の多くは必ずしも最新の研究を知りたいわけではなくて、「科学を実感すること」「分かる喜び」を期待しているのではないだろうか?
 個人的な経験でも、液晶や蛍光灯のような身近な工業製品に使われている技術とその原理を中学レベルから丁寧に解説したりすると、科学に疎い人でもかなり食いつきが良かった。食いつきが良ければ途中で基本的な物理学や設計思想などを入れると少々難解でもなんとかついてこようとしてもらえる。こういう場合、解説のほとんどは初級教科書や一般の解説書程度の基本的な内容にしておいて、最新の研究にはほんの一つまみ触れるくらいがちょうど良いようだ。
 もしかして、研究者の発表の場として最新の研究を紹介するのではなく、もっと身近な現象や機械の原理や設計などを丁寧に解説するようなサイエンスカフェの方が参加者の満足度が高いのではないだろうか。