『多読術』

編集工学のセイゴウ先生が、「本道楽」を語るインタビュー本。
本好きの人なら、同好の先達と趣味の話をしている気分に浸れる。本をたくさん読んで自己啓発しましょう、といったビジネス書とはまるで違うのでご注意を。

ちなみに、著者自身がこの本でいちばん言いたかったという「読書は編集である」との主張は、残念ながらよく分からなかった*1。けど、著者がいちばん言い足りなかった「読書はナイーブでフラジャイルである」ということは、共感できるように思う。

だから、本は「薬」にもなるが「毒」にもなるし、毒にも薬にもならないことも少なくない。読書はつねにリスクを伴うと思ったほうがいい。


本書あとがきより

著者はナイーブでフラジャイルなところを「恋心のゆらめき」になぞらえているが、毒にも薬にもなるところも恋心と同じと言えそうだ。

*1:「編集」という言葉の意味を著者と共有できていないのだと思う。