『脳を活かす勉強法』

眠れなかったので手近に転がっていた字の大きな本書を読みかけたら、そのまま最後まで読んでしまった。
類書に比べてさほど目新しい内容は無さそうだが、読みやすいのは確かなのでいわゆる「勉強本」を初めて読む人には良いかもしれない。他の本を何冊か読んだ人にとっては本書から得るものはあまり無いように思う。
全体的な感想はなんだかイマイチ。アマゾンの書評を見ると賛否両論あるが、個人的にはネガティブなもの(目新しくない、科学的でない、後付け、自慢っぽいなど)のほうが納得いく。
あと、個人的に「そうかなあ」と首をかしげる箇所や「矛盾してるのでは」と感じる箇所が端々にあったのが気になる。たとえば、「はじめに」に

入学当初の僕は「できない子」だった

とあるが、

中学に入学して最初のテスト。その結果は、同級生三○○人中一○番台。

そんな感じでスタートした高校生活の初めてのテストは、案の定、三八○人中七七番。

とある。このくらいなら別に「できない子」ではないのでは?。「普通の子」かむしろ「上位の子」だろう。それとも著者にとっては10位/300人ごときはおバカの領域なのだろうか。
他には、P147に

かといって、オンリーワンである必然はありません。似たような人が一万人いても構わないのです。一万人が一万人、まったく違う方向に個性を発揮して、それがネットワークによって結びつけられて新しいかたちを作り上げていく。

とあるが、そもそも「まったく違う方向に個性を発揮」している人達が「似たような人」なのだろうか?他の人と全く違う方向に個性を発揮しているのがオンリーワンではないのだろうか?
こういった小さな齟齬があちこちにあるせいでいちいち引っかかる。本心に無いことを無理に書いているような印象が残る。

脳を活かす勉強法
脳を活かす勉強法
posted with amazlet at 08.09.24
茂木 健一郎
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