「出来ない」ほうがお得

ASCII.jp:日本のITは20年間進化していない──野口悠紀雄が語る (6/6)

── 役所の中にコンピュータを分かる人がいない?


野口: いるとは思いますが、その人が組織の中で実権を振るえるわけではない。これは想像ですけれど、コンピュータに強いことが知られてしまったら、「コンピュータ使い」にされてしまうのは明かですから。役所というのは、そういう組織じゃないですか? これは、コンピュータだけではない。一昔前なら、英語ができると、役所では明かに出世の妨げですね。「英語使い」にされてしまう


── 専門家にされてしまう。


野口: それは、日本の組織の宿命ですね。だから、能力のある人は「私は英語ができる」とは絶対に言わないのですね

なるほど。やはりそうだったのか。
役所に限らず、給料を勤続年数で決めている民間企業でも、英語やITなどの技能を身に着けると損をすることが多い気がする。
英語が出来れば海外からの電話番やメールの翻訳を、ITが分かれば社内のパソコンの面倒を見させられたりする。そういった雑用が増えても、本業の負担を軽くしてもらえるとは限らない。むしろ雑用に時間をとられたために本業の成果が下がったことを理由に評価が下げられる可能性もある。