電子レンジの原理

Wikipediaの電子レンジの説明に??

原理としては、マイクロ波が照射されると、極性をもつ水分子を繋ぐ振動子が振動エネルギーを吸収して振動をし始め、エネルギー準位を上げていく。すると、所謂、結合の手(振動子)を放して蒸発することになる。電子レンジはこの性質を利用している(マイクロ波加熱)。

電子レンジ - Wikipedia

 この説明には色々問題がある。
 全体的に見て「振動子」という用語の使い方が変だし、「エネルギー準位を上げる」という表現もおかしい。と言うか、そもそもここでの説明にエネルギー準位を考える必要があるのかも疑問だ。さらに温度上昇の記述を飛ばしていきなり「蒸発する」と言うのもおかしい。
 文句があるならお前が修正しろと言われそうだが、正直言って自分の理解にもいまいち自信がもてない。誰かもっと詳しい専門家が修正してくれないだろうか。(他力本願)

 探してみると、http://atom11.phys.ocha.ac.jp/water/microwave.htmlに、水のマイクロ波分光の専門家によるより正確な説明があった。

ほどよい速度で電場が変動する場合(これがマイクロ波に相当する)、電場の変動に少し遅れて分子達がついていくことができる。このとき、外場Eに対して分極Pが遅れることになり、遅れた分だけエネルギーの散逸が起きて、最終的には熱になる。

分子達が作る分極Pは、マイクロ波では、外場の変動に対して遅れてついて行く。マイクロ波の電場は振動しているので、Pは強制的に振動させられることになる。ここで注意しなければいけないことは、Pが振動しようとすることと、分子が振動しようとすることは別物だということである。分子の位置のずれや方向の変化でPが出てくるので、Pが振動しても分子が振動しているとは限らない。

マイクロ波の電場と相互作用する直接の相手は、水分子が集団で作る分極Pであり、個々の水分子ではない。Pとの相互作用を通して、個々の水分子が影響を受ける、と思った方が理解しやすい。

 こちらの説明にはさすがに違和感は無い。ただ、素人が読むにはちょっと難しいかもしれない。