現場の根性は美談か?

技術者がどうしようもない状況に追い込まれて、超人的な力を発揮して、問題を強引に解決する物語。

本来問題にしなくてはいけないのは、技術者が超人的な力を発揮せざるを得なかった状況のこと。それはたいてい、偉い人達の舵取りミスであったり、マーケットの変化が読めないことであったり、もしかしたら単純に、絶望的な人員不足にしかすぎなかったり。

「何故そうなったのか」よりも、どういうわけだか「どうやって乗り越えたのか」のほうが面白い。「どうやって」の部分には、たいていの場合、情熱だとか、技術者の誇りだとか、思考停止ワードが並ぶ。

http://medt00lz.s59.xrea.com/blog/archives/2007/12/post_574.html

プロジェクトX」については私もよく似た感想を持っていた。
困難を克服した人達は偉いと思うけど、それ以上にその困難の原因である企業上層部や政府の失策の方が気になっていた。そういう場面を視るたびにマネジメントの不在に気分が滅入ったものだ。
プロジェクトX」の演出で特に問題に思ったのは、現場の技術者が上の失策を補ってプロジェクトを成功に導くことを美化し過ぎなのではないかということ。マネジメントの失敗を現場の根性で補うのが美談になってしまっては、マネジメント層のレベル低下を助長してしまわないか。考えすぎか。

技術者には概ね評判の良い番組だったので、敢えて水を差すことはしなかったけど。