このところの実験の間に溜まっていた雑用を片付けてから、前から気にっていた論文を時間を取って読んでみた。
で、驚いた。
論文が書かれたのは15年も前なのに、これから私が作ろうと思っている機能の多くが既に実現されている。世の中に優秀な人はいくらでもいるから発想が同じであっても不思議は無いが、意外だったのは当時既に浮動小数点型のDSPが市販されていたことだ。さらにAD/DAの速度も我々の使っているものと同等で、サンプリング周波数は全く同じであった。DSP技術の歴史を調べたことはなかったが、浮動小数点型DSPが一般的になったのはせいぜいこの5年くらいだと思い込んでいた。
ともかくこちらが今作りかけている物は15年前に既に作られていたということだ。ちょっと凹む。

その論文はfirst autherの博士論文をコンパクトに纏めたものだったようで、元になった学位論文は自由にダウンロードできるようになっていた。しっかりした学位論文だが、頑張ればそれと比較に耐える程度のものなら書けるかもしれないとも感じた。
私の本来の学位のテーマでは、かつては研究資金が全く無くて散々苦しみ、今では無価値な実験結果をいかにも価値があるかのように偽装するのに四苦八苦している。いっそそっちは捨てて、こちらの分野で論文を書くことを考えた方が、(たとえ失敗に終わっても)自分で納得がいくかもしれない。とか思った。