『もし部下がうつになったら』

うつ病の本というより、企業のメンタルヘルスの手引書。医学書というよりむしろビジネス書っぽい。うつ病の仕組みや治療法にはほとんど触れずに、うつ病になった社員を企業がどう扱うべきかという点を中心に、具体的な対処法について書かれている。
知識労働が主体となっている現代の企業おいて、社員のメンタルヘルスは生産性やモチベーションに直接影響する。それゆえ部下のメンタルヘルスのマネジメントは管理職の仕事とは切り離せない。部下をもつ人、将来もつことになるであろう人、つまりほとんど全ての上司と上司予備軍は読んでおいて損はない。
ただし、本書の対処法は治療側からの視点で書かれているので、現場にとっては理想論に見える箇所も散見される。それゆえ内容を咀嚼した上で自分の状況に合わせて応用する必要がある。もっともこれは「理想的な経営」を語る一般のビジネス書でも同じことだが。