小さい会社ならやりたい事がやれるという嘘

ジュリアーニさんの話を聞くとある普遍的なことに気付いたのです。それは従業員のレベルです。非常に高度な教育を受けてきた社員にとって確かに命令形はうまくいかないのです。リーダーの能力と見識が社員、特に幹部社員のそれと大差がなくなれば、命令形は逆効果です。(中略)
だから人材豊富な大手企業ではボトムアップが一般的ですが、人材の少ない中小企業ではトップダウンが普通です。日本企業だからボトムアップがいいというのは誤解に過ぎません。当然に逆も真実ではありません。
http://www.softbrain.co.jp/mailmaga/back64.html

これが中小企業に人材が定着しにくい理由でもある。かつての就職難の時代には、中小企業にも高学歴の新入社員を採用するチャンスはあった。だがはたして多くの中小企業はそういった人材を生かせているだろうか?
記事にあるように、多くの中小企業ではトップダウンが普通である。こういった企業では自分で考える人材は歓迎されない。これまでトップダウンというかワンマンでやってきた経営者にとって、自分の意見を持つ社員というのは目障りな存在なのだ。むしろ自分の意見を持たずに命令に忠実に従う社員こそが必要とされている。別にこれが悪いというわけではなく、これまではトップダウンが合理的であったというだけのことだ。

これから考えれば、中小企業ほど社員に裁量を与えるというが単なる幻想*1であることが分かる。確かに中小企業の従業員募集には「小さい会社なので社員に権限を与える」などと書かれていることが多い。それを見て、大企業で歯車になるよりも大きな裁量で仕事をしたいと中小企業に転職する人がいる。しかし実際には「なんでもやらされる」わりに裁量(権限)はほとんど与えられないことも多いようだ。あおり文句をうかつに信じ込まないように注意されたい。

*1:もしくは悪質なデマ