『なぜ、母親は息子を「ダメ男」にしてしまうのか』

理由の分からない「生き苦しさ」を感じる全ての人にお勧め。
「ダメ男」「ダメ女」の行動の根底には子供時代に受けた心の傷がある。この傷は深層心理に近い部分にあって、「物事の好き嫌い」や「何に恐怖を感じるか」に直結しているので、頭で理解するのは難しい。それゆえ本書は、わかる人にはすごく共感できるが、わからない人はまず理解できない内容になっている。この本を少しよんで共感できなければ、おそらくそれ以上読んでも無駄になる。そういう人は心の傷と無縁で生きてこられたということで、むしろ共感できないことは喜ばしいことなのだ。

ちなみに、典型的な分かる側の人間である私にとっては少なからず共感できる内容であった。
親による洗脳(Domestic Mind Control:DMC)を受けると、自分で気が付くことは難しい。私の場合は早い段階で自覚し、心理学関係の本を読みあさるなどして原因を知ることができたので、最悪の事態は免れたようである。ただし、幸せを避けてしまう、完璧でないと不安になる、自分は世界に必要ないと感じる、といった典型的なDMCの症状はまだ治っていない。
本書の最終章にはDMCの癒し方が述べられており、私が独自に実践してきた方法が妥当なものであることが分かり少し安心することができた。洗脳を解くには洗脳を受けた期間とほぼ同じ期間が必要になるとも述べられているが、だとすると私の年季ももうすぐ明けるかもしれない。

なぜ、母親は息子を「ダメ男」にしてしまうのか
岩月 謙司
講談社 (2004/06)
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