『偽装国家』

戦争や核武装について意見の一部を除いて、それ以外はほとんど同感。気になる箇所に付箋を貼っていったらほどんどのページに貼ることになってしまった。
あえて煽るように書かれているので丸ごと信じこむのは危険だが、そのぶん文章に勢いがあって読みやすい。著者は現在の日本の窮状を招いた犯人を「政治家&官僚」「マスコミ」に「愚民」を加えた「バカの三位一体」だと断じている。(これは、いつぞやの選挙でニートやフリーターが自民党に大量に投票していることを知ったときに感じたことだった。)
参政権を持っている人はこの「三位一体」に加担してしまわないためにもぜひ本書を一読しておきたい。

本書は印象に残る箇所が満載だったが、それでももっとも心に刺さったのは鳥取県の片山知事の引退の言葉だった。

「正しいと思うことを一生懸命やっても評価されない」
片山さん(元鳥取県知事)のこの言葉ほど、今の日本人を表現しつくしたものはない。この言葉を、日本人は真剣に聞くべきです。

まったくもってその通りだと思う。

おのれの目の前の欲望だけにすがりつき、軽薄な情報に流され、嫉妬と足の引っ張り合いに狂奔する人々。まあ、なんとかその日食えているから、そうしたこともできるのでしょう。
しかし、その「なんとか食える」地位の崩壊もまた、目の前に迫っているのです。

それでも逃げきり体勢に入っている人々はこれまで通りのことを続けるのだろう。しかもその連中は人数が多いから、どうしても政治はそれに追従する。若年世代としては倫理を見失わずに、彼らがいなくなる日を待ちつづけるしかないのだろうか。問題はそれまで崩壊が待ってくれるかどうかだが。

偽装国家―日本を覆う利権談合共産主義
勝谷 誠彦
扶桑社 (2007/02)
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