自発的留年

 前回の就職氷河期にうっかり卒業して難儀した自分が来ましたよ。

(以下は自分が経験した10年前の状況を元に書いているので、今の就職事情にそぐわない可能性があります。留年する・しないは自己責任で。)

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20100312/213350/

新卒でなくなると門前払いをくらう

 リーマンショックによる景気の低迷は底を打ち、数字上は改善の兆しが見られる。だが、新卒学生の就職環境は一向に好転する気配が見られない。

 まもなく卒業を控える大学4年生。内定をもらえなかった学生の中には、大学を卒業せずに留年しようという人が増えている。

 関東の私大の4年生の卒業試験では、進路が決まらない学生に対して大学の職員が、「よく考えなさい。単位を取ると卒業してしまうよ」と個別に勧告し、“新卒ブランド”を捨てないよう注意を促したケースもあるほど。

 現実的なアドバイス。少なくともそういう選択肢があることを知らしめるのは良心的だと思う。
 10年前に大学の就職担当者に相談したときは、「新卒も既卒も差は無い」という大嘘をつかれた(単に担当者が無知なだけだったのだと思うが)。そして、それを信用してうっかり卒業してしまったため、「新卒限定」がデフォルトである普通の求人には応募できなくなってしまった。今となってはどうでもいいけど、恨めしく思ったこともあった。
 少なくとも10年前の日本では「新卒であること」を採用の必須条件にしている会社が多かった。新卒でない応募者はたいてい申し込みの段階で門前払いされた*1。この10年で就職事情がどれほど変化したのかは知らないけど、もし今も新卒至上主義が残っているのなら*2、あえて卒業しないのも一つの手だと思う。

留年は来年の求人回復を待つためではない

 卒業を延ばして少しでも就職活動の環境を良くしたいと考える学生の気持ちは分かる。だが、残念ながら来春の卒業生に対する今年の企業の採用動向は、昨年よりもさらに悪化するとの見方がある。

 これは的外れな指摘。
 ことし内定を取れなかった学生がわざと留年するのは、来年の求人回復を待つというよりも、「新卒カード」という入場券を温存して再チャレンジの可能性を残すため(ただし既に浪人や留年をしているなら延長は考えもの)。
 採用数が多かろうが少なかろうが、まずは門の中に入れてもらわなければ始まらないのだから。

 ある電子機器メーカーの人事担当者は「(留年生に)よほどの魅力を感じられなければ、4年生を選ぶだろう」と明かす。

 だ・か・ら、「留年生と4年生」を比較しても無意味だって。
 比較すべきは「留年生と既卒生(1年目)」だろう。留年するか迷っている学生はその差こそ知りたいはず。

新卒至上主義をやめれば内定切りも減る

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20100312/213350/?P=2

 「分からない」と回答しているのは、採用数を「昨年並み」か「減らす」で悩む企業がほとんどだろう。だとすれば、今年の採用動向は昨年にも増して厳しい状況になると予想される。

 企業が態度を明らかにしない要因には、昨年「内定切り」が社会問題化したことや、景気の二番底の懸念がある。

 じゃあ通年採用にすればいいんじゃね?
 内定切りは、内定を出すのが早すぎて就労までに事情が変わるから起こる。人が必要になったときに募集してタイムラグを短くすれば約束を反故にしなければならなくなることも減る。
 通年採用が普通になれば、学生もわざと留年しようかなどと悩む必要が無くなる。留年の途中で就職することになったら大学を卒業できなくなってしまうかも知れないのだから、さっさと卒業してから就職活動をする学生が増えるだろう。(というか欧米ではこれが普通と聞く)
 新卒一括採用にこだわる中小企業は自縄自縛に陥っている(&学生も縛ってる)ようにしか思えない。

*1:おそらく、人事部に応募者の能力を見抜くだけの眼力も時間も無くて、新卒・既卒やら男女などの条件で機械的にふるいにかけていたため。

*2:買い手市場では新卒至上主義が強まる傾向があるし