若者の離職の何が問題か

 今日、車のラジオで「大卒の新入社員の1/3以上が3年以内に離職している。文科省がなんとかせえと大学に圧力をかけた」といったニュースが流れていた。
 思わず「バカじゃないの」とつぶやいてしまった。
 自分は「辞められる人はどんどん辞めて、可能なら海外に行くなりして、国内の人材の流動性が高まっていけばいい」という考えなので、若者が辞めること自体に難の問題も無いと思うし、むしろ応援したい*1
 もちろん当人たちが離職によって当人たちが困窮したり、社会の維持に支障が出ないように対策を立てる必要はある。しかしだからと言って、なんでもかんでも立場の弱い若者たちに我慢させようというのは大人としてどうなのよ、と思わずに居られない。
 だいたい、彼らが仕事を辞める理由を調べもせず(もしくは調べた上で無視したか)、「あいつらは根性が無い。大学でちゃんと指導しろ。」などとのたまうことを恥ずかしいとは思わないのだろうか
 年功賃金の維持のために非正規や派遣労働者の賃金を低く押さえつけていること(同一労働非同一賃金)や、再就職が困難な新卒至上主義の雇用習慣など、改善すべきことは他にもあるだろう。

 このニュースを聞いて、会社を辞める若者や、海外に出る若者たちをますます応援したくなった。現状を考えれば安易な離職を勧めるわけにはいかないが、それでも辞めると決めた時には(オッサン達が恥知らずな精神論を持ち出そうとも)、別に引け目を感じる必要なんてない*2

うまい逃げ方―人生、できることだけやればいい!
宋 文洲
経済界
売り上げランキング: 136091

元記事はいずこ?

 ちなみにラジオで聞いたニュースに関する記事を、ウェブ上で探してみたが見つからなかった。かろうじてそれらしいのは2009年7月頃の「中教審が全大学で職業指導、 来年度からの導入を目指す」という記事だろうか。
 だいぶ前のニュースなので既に何人もの人がコメントを書いている。目に止まったのは以下の2つ。

http://kusoshigoto.blog121.fc2.com/blog-entry-273.html

しかも「社会人wなら仕事を優先させるのが当たり前」みたいな社畜の価値観を押し付け、サビ残、休日返上でろくに休みも与えず、クソ労働環境で理不尽だらけの我慢大会を課せば3年も続く方が奇跡だよ。

あと、「社会人として必要な資質能力を高めるためにも、職業指導を教育課程に位置付けることが必要」ってあるけど、どんな資質能力? コミュニケーション(同調)スキル? 空気読んで付き合い残業する能力? 上司からの飲み二ケーションの誘いには「喜んでお供する(社会人マニュアルより)」能力? ああ、日本のクソ労働環境では必須の「ストレス耐性w」ですね、分かりますww。

「仕事は辛くて当たり前。給料は我慢料。我慢と忍耐力が無いと仕事は出来ない」みたいな仕事観が蔓延してるから、働く事の敷居がどんどん高くなって、「たかが」仕事を始めるのに今から戦場に向かうかのような悲壮な覚悟が必要だったりする。少なくとも俺は怖過ぎて日本では働けない。

そもそも離職率を下げたいなら、学生ではなく、クソ会社を指導して、クソ労働環境を改めさせるのが先だろうが!

 労働が過剰に神聖視されていて、給料=我慢料になっているというのはその通りだと思う。ただ、その原因は経営者よりも、就業中の社員たちの意識にあると思う。


大学で職業指導・・・悪いのは若者だけか?? ( 就職 ) - 自由を求める招き猫の幸福追求権についての研究 - Yahoo!ブログ

環境により転職できるのであれば大いに結構なことである。
いろんなところを見て、自分に合う場所を見つける事のなにが悪いのか。
それに、企業が正しいかのようなとらえられ方がされており、悪いのは根性がない新社会人だとでもいいたげに聞こえる。

社会人に必要な資質とか言っているが、じゃあ、それを誰が教えられるのという問題がある。
職業指導なんてするのは平均年収1千万を超えてる大学職員みたいな楽な現場で優遇されまくってる人間が教えるの?

その辞めてしまった人間を社会不適格者として就職できないようにしている社会をなおすべきじゃないの。
そして、何よりもよくないのが新卒至上主義・形式主義である。
就職のために留年するとか、いくら優秀な人間でも既卒なら就職活動を受け付けないとかそんなバカな雇用慣行を改めるのが先じゃないのかい。

*1:と言いつつ自分が率先して辞める度胸が無いのは情けないが

*2:ただし引き継ぎや手続きはちゃんとすること