「論文」をいかに書くか、さらには「論文」を書くために「研究」をいかに進めるか

情報科学の論文・研究についての記事だけど、大部分は自然科学でも当てはまりそう。
Leo's Chronicle: 良い論文を書くために知っておくべき5つのこと

1. Abstract, Introductionが9割を語る
2. コードを練るより先に、伝えるべきことがある
3. 良い文章とは、悪い文章を書き直したものだ
4. 書いた文に振り回されるくらいなら、思い切って捨てなさい
5. 良い研究でもシンプルなアイデアでできている

特に1、3、4はすぐに取り入れさせてもらおうと思う。

他にも何箇所か印象に残ったところがある。

難しい研究に見えても、根本的にはシンプルなアイデアでできていることがほとんどです。論文の格を上げるために、式の定義を小難しく見せる必要はありません。問題解決のアプローチがシンプルであっても構いません。問題を解くことで分野の研究を一歩進める、そしてその成果をわかりやすく伝えることが何よりも大事です。

目からウロコ。でもシンプルにすることで評価が下がらないかという心配は消えない。査読や審査をする人達の間で「分かりやすい=良い」という認識はどれだけあるのだろう?「なんだか読み易いからきっと大した内容ではない」と思われてはたまらない。

日本ではプログラミング能力はあるけど、PhDをまだ取っていない(あるいは取る意思のない)若手が注目を集める一方、グーグルでは、PhDを取得した人を積極的に採用しています。プログラムの力量という意味ではPhD自体は意味を持ちませんが、PhDが示すのは、論文を読んで最新技術の詳細を理解でき、その上で、「新しいものを作り上げる力」を持っているという証です。

どちらかと言うといかに教授に従順かが重視されることの多い日本のPhDが、この能力を修得しているかどうかにはちょっと疑問がある。
あくまで個人的な経験では、最新の論文を読んで新しいものを作るより、(教授の指示に疑問を持たないために)論文をあえて読まずに教授が予想した通りの結果を出すことを求められるようなケースが多いように思う*1。たとえそれが全く先進性が無い内容であったとしても。

そして、この対象とする問題の重要性を考えることが、冒頭に挙げたintroductionに書くべきこと(問題設定、なぜ重要か、問題の難しさ、過去の研究との比較)に反映されていきますし、introductionを書いたときに、不足している実験が見えてくることもあります。このサイクルが研究の進める上で非常に大切です

これはまったく同意。introcuctionは、研究を始める前に書いておいて、途中で直していくのが行くのが良いと思う。
人から与えられたテーマの場合は特に、目的があいまいなまま実験作業を繰り返し、論文にまとめる段階になってデータ不足に慌てることが多い。introductionを更新しながら実験を進めれば、常に目的地を意識しながらデータを集めることが出来るので、そういったことは減るのではないだろうか。
まあ指導する側にとっては与えるテーマの設定が難しくなるかもしれないけど。

*1:実際に「研究を始める時には他人の論文はあんまり読むな」と言われたこともある