午前中、上司と定例のミーティングをしていると社長から急におよびがかかった。会社で代理販売をしているアメリカのメーカーから、先方の社長が新しいソフトウェアのプレゼンに来たので出席するようにとのことだ。前から出席させられるような「噂」は聞いていたのだが、正式に連絡がきたのはプレゼン開始と同時だった。私はプレゼンが行われるのと同じ本社にいるので移動は必要ないが、中には別棟から呼び出された人もいた。
プレゼンは昼食をはさんで3時間以上に及び、終わったのは午後の2時半。はっきり言ってソフトの機能やスペックについてはまるで敵わない。わかってたことだが。
プレゼン後で、こちらの社員がいくつかソフトウェアに関する質問をしてから、思い切って先方のソフトウェア開発の様子について質問した。あらかじめ「あなた方のソフトウェアがあまり素晴らしいので、私はソフトウェア技術者として自信を失いました。」と軽くおだてておいたのが効いたのか、喜んで話してくれた。
ソフトウェア開発のスタッフはアメリカに2人、ヨーロッパに1人、そしてインドに約10人いるらしい。コーディングはインドで行い、アメリカではデザインとマニュアル作成、それに顧客からの要望の整理を行っているのだそうだ。インドの技術者はコーディングを専門に行い、私のようにマニュアル書きや納品や他の手伝いに駆り出されることは無いのだそうだ。このチームにたった一人で対抗しなければならず、その上無能な経営陣にピンはねされている我が身は…じつと手を見る。

さらに突っ込んで技術者のやる気を維持するために何をしているのかも訊いてみた。報酬を上げるのに加えて優秀な技術者はアメリカで働けるようにするなどの工夫をしているらしい。そのおかげか離職率は他所に比べてかなり低いらしい。

わざわざこんな質問をしたのはこちらの社長に世界の標準を聞かせるである。だというのに、当の社長は回答の途中でどっかへ行ってしまった(逃げた?)。ちゃんと聞いといて下さいよ!