『最終兵器彼女』

昨夜は最終兵器彼女(全7巻)を一気読み。TVでアニメ版を見てコミックスを購入したものの、ずっと読まずに置いてあった。アニメを観た直後でストーリーに新鮮味がなかったし、原作マンガは比較的文字が多くて読む負担の大きいなかなか読む気が起こらなかったからだ。それからずいぶん経ってストーリーもだいぶ忘れてたので、今回ようやく読んでみた。

読みはじめたら止まりませんでした。

しかも何回か泣きそうになった。やはり名作。
ただし、正直言って「最終兵器彼女」は難しい。読みこなすにはそれなりの感受性が必要だろう*1。かつてアニメ版を見たある友人が、物語世界の状況説明が足りないのが不満だと言っていた。彼はマンガなどもそれなりに読む人物であったが、それでもこういう誤解をしてしまっている。
作中では、敵が「誰」であるか、最終兵器とは「何」なのか、そして「なぜ」彼女がああなったのかは詳しく語られていない。このことを不満に思う人もいるだろう。しかし、作品のテーマからすればこれらは瑣末な事に過ぎず、むしろ説明が無いことが重要なのである。
他の誰かにとって合理的な理由があったとしても、ちせとシュウジに起こった出来事は、彼らにとってやはり受け入れるしかない事実でしかない。仮にもっともらしい説明があったとすれば、読者は納得するかも知れないが、ちせとシュウジは決して納得しないだろう。彼らの知らない事実を読者が知れば知る程、読者の立ち位置はシュウジ達から離れてゆく。
説明がないことで読者は「もどかしさ」や「いらだち」をシュウジ達と共有することができる。彼らの感じる「不条理さ」や「残酷さ」がリアルさを持つ。「あえて語らない」ことによって、「最終兵器彼女」は読む者を強く引き込む作品であり、読後のせつなさもひとしおなのだ。


最終兵器彼女 (1)

最終兵器彼女 (2)

最終兵器彼女 (3)

最終兵器彼女 (4)

最終兵器彼女 (5)

最終兵器彼女 (6)

最終兵器彼女 (7)

*1:偉そうに書いているが、私もちゃんと読みきれているか自信は無い。