ファインマンの手紙』

新古書店に置かれていた。ファインマン自身が書いた手紙を集めた本である。分厚い本で場所をとるのでこれまで購入を見合わせていたが、店にいくたびに来になってパラパラめくっていた。

ファインマンに憧れて物理学を志した人はたくさんいると思うが、私もその一人である。もともと科学に興味はあったが、物理学科を選んだのは「ご冗談でしょうファインマンさん」「困りますファインマンさん」の影響が非常に大きい。ファインマンの自由闊達さや自然に対する誠実さは、私にとって理想の科学者像のひとつであっただけでなく*1、人生観にも大きな影響を受けた。本屋も無い田舎の高校生であった私がこれらの本に偶然出会えたのは、いまにして思えば非常に幸運なことではあった。受験勉強をしながらこれらの本を何度も読みかえしたものだ。

今日になって購入した決め手になったのは、序文にある次のくだりだ。

行き当たりばったりに近いやり方で物理学を勉強してきたことを思い悩んでいた女性には、「そのほうがはるかにいい。何よりも興味を持てることを、できるだけ大胆不敵な、独自の方法で、精一杯勉強しなさい」と返事をしている。

なんと心強い言葉だろうか。

*1:幻想を抱いていたがために、その後現実に何度も失望することになったが…